大東流合気柔術とは

武田惣角先生によって世に出た大東流は、それを継承した高弟達の師伝によって顕れ方に相違はあっても、かつて“神秘の武術”“幻の武術”と称されたように、その技術は素晴らしいものである。

合気武術は人の魂に感動を与えるものであり、武術としての殺法・活法のみならず密教行法哲学であり平法学でもある。

古代日本人は風・火・土・金・水の五種を「五元」という概念で森羅万象を説いてきた。人間も含めた森羅万象はこの五元によって結び成されているとされている。季節にこれを当て嵌めれば春・夏・土用・秋・冬の五種となり、五色、人体の五臓、五腑、五主、五竅、五情、五味というように、人間やあらゆる自然界にこの原理が当てはまるが、大事なのはこれら五種のバランスを保つことであるとされ、日本精神である「和の心」も、その根源にはこれらの調和を大切にする宇宙的思想に基づくものである。これらは即ち【合気の心】そのものであり、大東流の体系基盤は五ヶ条、五元の術理が元になっている。

【「合気問答」BABジャパン刊より】